東洋医学のはなし
東洋医学では、身体の各部位が有機的に繋がり影響を及ぼし合っていると考えます。
有史以来、人類が積み重ねてきた膨大な知見が根治までの道程を論理的に示します。その知見を最大限に活かすために、私たちは身体を的確に診る目を磨き、異常を感知する手をつくることに心を砕いています。
[主に扱う東洋医学の考え方]
【陰陽について】臓腑の陰陽の平衡が取れていると、健全で身体の恒常性が維持されます。「陰」「陽」とは、「冷え」「熱」と言い換えると理解がしやすくなると思います。冷えに偏り過ぎると恒常性が崩れ、熱に偏り過ぎても恒常性が崩れ、いずれも病を生じます。東洋医学は陰陽それぞれにおいてその偏りを戻そうとする手法を持っています。陰陽の平衡が崩れ、いずれか一方に偏る傾斜を止めることができない状態は「逆証」と呼ばれ、不治を意味します。そうなる前に手を打たなければなりません。
【虚実について】東洋医学では臓腑を主役に考えます。臓腑の弱り(虚)に乗じて、多くの負担や因子がつけ込む(実)状況を鑑み、外因に対して対策を講じなくてはなりません。外因を攻撃する手を取るか、あるいは臓腑を鍛えて外因からの耐久性を構築する手を取るか。その選択はまさに兵法そのものであり、さながら生命という城を病から守る城取り合戦と言えます。その采配をふるうことこそ、まさに我々の存在価値だと信じています。
【体表と臓腑の関係】臓腑の状態は、皮膚をはじめとする体表に必ず兆候をあらわします。興味深いのは、動物には体表に特定の刺激を与えると臓腑が動く習性があることです。その特定の場所は「経穴」(民間でいうところのツボ)と呼ばれています。身体に点在する経穴同士を結ぶ線は「経絡」と呼ばれ、まるで網のように全身に張り巡らされています。また、その経穴を鍛えられた手指で感知する作業を「切経」と呼び、古来から伝えられている手法「四診」の一つです。私たちはこの手法を得意とし、ほかの三法も駆使しながら施術をおこないます。